地元「南湖小」に着任して
校長 横澤 敏英
東日本大震災が起きた年に私はこの南湖小学校に教諭として勤務していました。それから十数年が経ち,子どもたちや保護者,職員も大きく変わりましたが,その時完成した体育館,校舎や校庭などは今も全く変わっていません。また,南湖小周辺も田んぼや畑,牛を飼育している風景なども,ほとんど変わっていないように感じ,日々あのころの思い出がよみがえってきます。
私自身も25年ほど前に南湖地区に移り住み,自分の子どもたちもこの南湖小に通い,本当に「地元」の学校にもどってこられたように感じています。ここ,南湖小学校に赴任し,「転任のあいさつまわり」に行く先々で「おかえり」「よかったね」と温かい言葉を多くの方々にかけていただきました。学校を支えていただいている地域や保護者の方々と出会い,本当にうれしく感じています。そしてまた,南湖小学校は,たくさんの人との関わりや心の触れ合いを大切にし,子どもたちを育んでくれる「人」や「環境」が豊かであるということをあらためて感じました。
子どもたちが生きていくこれからの時代は,「VUCAの時代」と言われ,社会の変化が激しく,先行き不透明で予測困難な時代と言われています。そのような世の中を,子どもたちが自分の足でしっかりと歩いて生きていくために必要となる資質・能力を育んでいくことが今学校には求められています。正解のない問いに対して,自分の考えを持ち,他者と協働して解を導き出したり,様々な考えを持った他者を認め合い,ともによりよく生活していこうとする姿勢が必要となります。それぞれが知恵をしぼり,多様な他者と協力して「納得解」を導き出すことが必要とされています。
将来の地域を担う子どもたちは,地域の宝です。そのため,地域との関わりを積極的に教育活動に位置づけ,地域の一員としての自覚や地域を愛する心を育んでいきたいと考えています。
南湖小学校では,地域の特性,人材を生かした教育活動において,次の内容について保護者や地域と連携した活動を行っていきます。
1 地域とともにある学校づくり
学校は地域コミュニティの核であり,学校で学んだことは地域や社会で実践をするところだと考えています。そのため,学校では間違えが日々起きたり,友だち同士のトラブルも発生したりします。それをどのようにみんなで話し合ったり,折り合いをつけていったりして解決したり乗り越えたりできるかが大切です。保護者・地域の皆さまには,ぜひ温かかい目で学校の教育活動や子どもたちを見ていただき,成長の過程をいっしょに考えていただいたり,アドバイスしていただいたりしていただけるとありがたいと思います。
子どもたちの様子については,「学校ホームページ」や「学校だより」,「学年だより」を通して随時,お知らせしていきます。
2 児童の安心・安全確保
南湖地域は,地域による活動が活発であり,地域性が強い地域でもあります。この特性を生かし子どもたちの安全を確保するための活動を行っています。
・南湖駐在所ふれあい連絡会:犯罪・事故等の未然防止のため警察と地域住民とが連携して安全安心なまちづくりに取り組んでいます
地域の安全や防犯に関する情報交換や小学校へのチラシの配布,夜の巡回等の活動を行ってくださっています。令和4年度には,会員の皆様が積み立ててきたお金で検温カメラを寄付していただきました。
・児童の登下校の安全確保
下校時の付添いを全保護者に年2回ずつお願いしています。→家庭数減への対応
地域の安全ボランティアが児童の下校時に合わせ,各地区に立ってくださっています。
・校外学習安全確保
自転車教室や地区探検等の学習の際,安全確保のために警察官等の協力を願っています。
3 農村地域を生かした活動
南湖地区は昔からの農村地帯です。道路も農道として整備されており,農業が盛んな地域ではありますが,近年は農家を継ぐ人たちが減少し,比較的高齢者の方々が農業を行っているという現状があります。したがって,このような地域に生まれ育っても,農業とは全く無縁の子どもたちも多くなってきているのが現状です。だからこそ,あらためて地域を見直し,農作物を体験的に育てる等の活動が大切だと考えました。そこで,地域の方々に農業ボランティアを依頼し,年間を通して農作物について教えていただくこととしています。
4 地域の教材・人材を使った学習
地域に古くから伝わる獅子舞いの学習(西南湖区の区長さんや獅子舞保存会の役員さんに教えていただいています)や,報徳祭では地域の方々を招いて合唱を披露しています。
今年度も可能な範囲で実施を考えています。地域の人々との結びつきが地域に愛着を持ち,地域に貢献できる人に育っていくための原動力になることを願っています。